中国の伝統的な手漉き紙ー貴州楮紙
貴州省丹(たん)寨(ざい)県石橋村の楮紙は、地元の楮、杉の根、河川水を原材料とし、少数民族ミャオ族が漢民族の製紙技術を参考にして漉いた紙である。この技術は唐代から現在まで伝承されてきた。生産工程は、基本的に宋(そう)応(おう)星(せい)(1587年―1666年)という人物が書いた「天工開物」(1637年初刊)という本が記録したものと同じである。 石橋村の周りは古木に囲まれた静かな環境で、景色が美しい。吊脚式の民家は山に沿って建てられ、女性は銀の首飾りや腕輪をつけ、スカートは色々な図案で彩られ、古くからの姿をとどめている。製紙は原始的な家内生産様式が依然として残っており、天然の懸崖、洞窟の中で紙を漉くことも際立った特色である。 紙漉きはかつて一旦途絶え、70年代後半には、紙を漉く人はほとんどいなかったが、古い書物を修復するために、現在では製紙技術が復活してきた。現在、地方観光の開発に伴い、紙漉きは徐々に回復してきたが、主に観光体験の一部として展示されているのみである。紙の職人たちは、書画紙だけでなく、草や花をパルプ中に加えて「花草紙」を作った。花草紙は、伝統的な紙より製法が簡単であり、完成した紙も美しい。現在では、花草紙を漉くことが石橋の新しい旅行体験になっている。